『塩狩峠』[ 母 ]7 父が夜おそく客をつれ……

父が夜おそく客をつれてくることはない。梶棒がおろされ、前のほろが外されると、お高祖頭巾の女がすらりと降りたった。月の光を受けて、その女のぬれたような目が美しかった。車が去ると女は信夫の肩をかきいだいた。 〈作品本文の凡例 … 続きを読む 『塩狩峠』[ 母 ]7 父が夜おそく客をつれ……